2020 年 5 巻 p. 29-34
無線電力伝送システムを社会実装するとき,二つの重要な課題を考慮する必要がある.一つは既存の通信システムと共存できること,もう一つは人や動物への影響を極小化することである.最初の課題に対して筆者は両サイドレトロ方式の採用を提案した.これによって電波漏洩が最小になり通信システムとの干渉を避けることが期待できるからである.後者の課題解決には,人や動物が間違ってビーム内に侵入したとき,電力伝送ビームが侵入物を瞬時に避ける方策が必要である.筆者らは最初の課題を解決する両サイドレトロディレクティブ方式が後者の課題も同時に解決することを偶然に発見した.ここでは伝送空間に於かれた電波吸収体を回避するビームの振舞いについて報告する.