聖マリアンナ医科大学雑誌
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新型コロナワクチンとワクチンセンターの活動について
高野 知憲國島 広之
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2024 年 51 巻 Suppl 号 p. S129-S134

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抄録

2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症(Covid-19)は変異を繰り返しながらも,予防や治療も進み,社会も正常化しつつある。しかし,2022年1~12月のCOVID-19を原死因とする死亡数は47,635名であり,インフルエンザよりも死亡リスクも高い(HR:1.61)。ワクチン接種回数が多いほど死亡リスクは減少するが,2021年末から流行しているオミクロン株は高い免疫逃避性を有する。更にCovid-19に対するワクチン接種は,抗体価(IgG)は4回接種の場合でも接種後約13週間で接種前の抗体価まで低下し,有効な細胞性免疫の維持も8ヶ月程度である。これらのことから,流行に応じたワクチン接種を定期的に行うことが死亡リスクと重症化防止には重要であると考えられる。ワクチン接種の更なる利点として,後遺症リスクの減少,ウイルス排出量の減少と排出期間の短縮がある。継続的なワクチン接種が今後も重要な課題となるなかで,ワクチンセンターでは,職員や学生向けの集団接種を除いて,職員・医学科・看護学科学生・委託業者・患者等を対象に延べ12,969接種を行った。また,アレルギー歴があり,接種の判断を躊躇することがある患者に対して。リウマチ・膠原病・アレルギー内科のサポートを得て,500件を超えるワクチンの接種を行うことができた。今後も,継続的にワクチン接種を提供し社会への貢献を目指したい。

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© 2024 聖マリアンナ医科大学医学会
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