近年,戦後のような大水害は減少してきたが,各地で形を変えた都市水害が発生している。都市水害は住民の生活や産業に影響をおよぼすだけでなく,交通,ライフライン,企業経営にも大きく影響している。本報ではこうした都市水害の実態を全国,個別水害を対象に考察するとともに,減災にあたっての方策を示した。都市水害で被害が多い地下鉄・地下街,ライフラインに関してはソフト対策や浸水対策を提示した。また,ソフト対策で重要な情報伝達では,緊急速報メールや各種アプリを事例紹介した。特に今後活用が期待される避難行動支援アプリについては,その構成項目や優先項目などについて詳しく説明した。ハード対策としては,地下河川や地下調節池の効果と今後の課題を示した。最後に,都市における土砂災害の実態と課題に関する考察を行った。