八丈島北方の伊豆諸島海域,黒瀬海穴付近においてノルパックネットの表層曳きおよび鉛直曳き(水深 0-200 m)で採集したキンメダイ属の形態的特徴をもつ卵 63 個,仔魚 17 尾につき,ミトコンドリア 16S rRNA 遺伝子一部領域の RFLP および塩基配列分析により種同定を試みた。卵 10 個,仔魚 6 尾については DNA を抽出できなかったが,残りの卵 53 個および仔魚 11 尾は全てキンメダイと同定された。発生段階の異なる卵の分布様式からキンメダイは海底付近で産卵し,卵発生に伴い海面近くまで浮上するものと考えられた。