抄録
東京湾におけるシャコ幼生の発生に伴う分布域の変化を調べた。湾内広範囲に 15 の定点を設置し,周年にわたって採集を行った結果,全ての幼生期(11 期)のシャコ幼生を採集することができた。前浮遊期の Stages I~II の幼生は主産卵場である湾南部にのみ出現したが,Stage III 以降の浮遊期には発生に伴って分布域が湾奥方向に拡大することがわかった。特に湾奥部底層で貧酸素水塊の発生頻度が高かったものの,最終期の幼生が湾内のほぼ全域に出現したことから,本種は湾奥部を含む湾内広範囲に着底すると考えられた。