日本水産学会誌
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ニゴロブナ Carassius auratus grandoculis の初期成長の場としての水田の有効性
金尾 滋史大塚 泰介前畑 政善鈴木 規慈沢田 裕一
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2009 年 75 巻 2 号 p. 191-197

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抄録

琵琶湖近傍の水田内にニゴロブナ仔魚を放流し,その後,水田内で育った仔魚,稚魚,未成魚を定期的に採集して初期成長をモデル式で解析した。その結果,水田内における日成長量(全長,体重)は,飼育下や琵琶湖植生帯におけるそれらよりも早い傾向が認められた。また,水田内での生残率は個体数密度が低い場合に高い傾向を示した。しかし,全長は 11~24 日齢で,体重は 15~44 日齢で日成長量が増加から減少に転じた。このことから,水田はニゴロブナのごく初期,すなわち 40 日齢程度までの成長の場として,優れた場所であると考えられる。

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© 2009 公益社団法人 日本水産学会
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