クロマグロ幼魚(ヨコワ)の鰓に寄生していた Didymocystis wedli の消長および伝搬性について調べた。日本海で採捕したヨコワを奄美海域に搬入し,寄生虫検査した結果,搬入直後の全ての検体で本寄生が観察された。その後,寄生率は減少し,搬入から 5 か月以後には確認されなかった。また,同一または隣接生簀網で飼育されていた同虫未寄生のヨコワおよびクロマグロ,周辺海域に生息する他魚種においても寄生は確認されなかったことから,ヨコワの搬入が奄美海域に同虫の感染を伝搬させる可能性は低いものと考えられた。