抄録
自然産卵で得られたスジアラ受精卵を用いて飼育を行い,その種苗の耳石日輪紋を観察し,成長過程と成長差の発現時期を調査した。また,マイクロサテライトマーカーで親子判別を行い,成長差発現への遺伝的影響について検討した。50 日齢に採集した稚魚を全長によって 3 グループに分け,耳石径から全長を逆算推定した結果,成長差は餌料系列の転換時期に発現することが明らかになり,仔魚から稚魚に変態が完了することによって助長された。また,3 グループ間での家系の出現頻度に差は検出されず,遺伝的影響は小さいことが示唆された。