1991-2007 年と 1991-1996 年の冬季に,それぞれ東シナ海と黄海で着底トロール調査を行い,カニ類の種組成とワタリガニ科の分布密度の年変動を調べた。カニ類は東シナ海で 34 種,黄海で 11 種が出現した。ワタリガニ科の出現種数は両海域ともに経年的に減少し,分布密度は黄海で著しく低下したが,東シナ海では減少しなかった。東シナ海ではヒラツメガニがワタリガニ科の密度の 76-98% を占めて優占し,その原因は高い漁獲圧による捕食者の減少に加え,本種が漁獲圧の低い沖合にも生息するためと考えられた。