日本水産学会誌
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大阪湾における底質環境とマクロベントス群集—2003 年と 2011 年
辻野 睦阿保 勝之樽谷 賢治
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2016 年 82 巻 3 号 p. 330-341

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抄録

 近年栄養塩低下が認められる大阪湾において 2003 年と 2011 年に,底質環境とマクロベントスを調査した。底泥の酸揮発性硫化物含量(AVS)は湾奥と湾中央部で 2011 年に低下したが,全有機炭素量(TOC)および全窒素(TN)については変化が認められなかった。マクロベントス現存量の分布および高次動物群組成に顕著な変化はなかった。秋季における湾最奥部の密度は,2003 年に対し 2011 年は半減した。2011 年には一部海域において種数が増加したが,近年の水質変化がマクロベントス群集の種組成に明瞭な変化を及ぼすまでにはいたっていないと考えられた。

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