養殖生簀に使われているポリエチレン(PE)製の菱目と角目網地および金網を用いて水槽実験で流れに平行と直角な場合の抗力,および流れに傾けたときの PE 菱目網地と金網の抵抗を計測した。流れに平行な網地の抗力係数は PE 菱目網地,角目網地,金網の順に大きくなることと流れに直角な網地の抗力係数は PE 網地に比べて金網で 0.8-0.9 倍になることが確かめられた。さらに,PE 菱目網地および金網の抗力係数と揚力係数はレイノルズ数,網目係数と迎角の関数で表わすことができ,現場の生簀の挙動を予測するために利用できる。
太平洋道東沖の資源調査に用いられる調査用流し網について,回復しつつあるマサバ資源のモニターに適した目合の組み合せを検討した。これまでの同調査結果を用いて目合別の選択性曲線を推定した。6・7 月と 9-11 月の調査時期間で選択性曲線に違いが認められ,胴での羅網過程を基に産卵後の肥満度の低下を要因としてその違いを考察した。また現在の目合の組み合せでは,尾叉長 300 mm 以上での採集効率の低下が著しく,大型個体の資源を過小評価する可能性がある。目合 82 mm と 106 mm の網を追加する改善策を提案した。