2016 年 82 巻 5 号 p. 753-762
養殖クロマグロの脂のりを非破壊で評価するため,近赤外分光分析法による脂質測定法を開発した。近赤外透過深度の検討結果から腹部後方を測定部位とし,この部位で測定した近赤外スペクトルと脂質含量の実測値で重回帰分析を行い,脂質含量測定用の検量線を作成した。この検量線を用いて2008年から2015年にかけて,3000尾以上の養殖クロマグロの脂質含量を測定した結果,3歳魚から6歳魚の間では魚体年齢による脂質含量に大きな違いは認められず,養殖クロマグロの脂質含量に最も大きな影響を及ぼす要因は飼育水温であった。