2017 年 83 巻 2 号 p. 199-206
脂質含量及び乾燥時間が異なる煮干しとそこから抽出しただし汁の臭気成分量を比較した。脂質含量が高いほど,乾燥時間が長いほど煮干しの臭気成分量が高く,臭気成分量が高い煮干しから抽出しただし汁は臭気成分量及びTBA値が高かった。脂質含量が高い原料魚から煮干しを製造してだし汁を抽出すると,乾燥工程中に脂質酸化が進行して生じた脂質酸化生成物がだし汁に移行することにより,だし汁の風味が低下すると考えられた。乾燥工程を省くことにより,脂質含量の多い原料魚から臭気成分の少ないエキスを得られる可能性が示唆された。