日本水産学会誌
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ATPによるマグロミオシンサブフラグメント-1の酸性pHにおける熱変性抑制
緒方 由美木村 郁夫
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2019 年 85 巻 1 号 p. 40-48

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抄録

 マグロのヤケ肉は,致死後の魚肉の酸性化と高体温によるミオシンやミオグロビンタンパク質の変性促進が発生原因であり,同時に,ATPは急速に消失することも報告されている。本研究では酸性pH下でのミオシンの熱変性に及ぼすATPの作用について,マグロミオシンS-1の濁度とCa-ATPase活性を指標にして測定した。酸性pH下のミオシンS-1の熱変性は,生理的な濃度のATPで強く抑制された。ATPはミオシンS-1の強力な変性抑制作用を示し,致死後の急速なATPの消失はヤケ肉発生の引き金となると推察する。

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© 2019 公益社団法人 日本水産学会
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