2019 年 85 巻 5 号 p. 494-502
本研究ではギス肉加熱ゲル形成不良メカニズムの解明を目的として,明治時代から現代に至るまでの小田原かまぼこ製法の変遷に着目した。加熱ゲルの破断試験結果の比較から,原料ギスの凍結保存プロセスよりも,35℃付近での予備加熱がゲル形成不良をもたらす支配的な因子であることが明らかとなった。またギス肉加熱ゲルから調製した水溶性タンパク質画分の解析結果から,明治時代頃のように直加熱を行うことによって,ギス肉中のミオシン重鎖ロッド部の分解が抑制され,破断荷重値が高いゲルを得られることが明らかとなった。