2021 年 87 巻 1 号 p. 49-51
本州,四国,九州,琉球諸島の12地域から採集したアコヤガイの貝殻真珠層の黄色度を比較し,地理的変異を調査した。黄色度の中央値は,琉球諸島に属する沖縄県の座間味島・石垣島・西表島の3地域と鹿児島県上甑島のアコヤガイが,他の本州・四国・九州の8地域に比べて高かった。各地の水温と黄色度の関係は明確ではなかった。黄色度が量的な遺伝形質であることをふまえると,本研究でみられた黄色度の地理的変異には,アコヤガイの黄色色素代謝や色素分泌に関する遺伝的特性の違いが,環境要因より大きく影響していると考えられた。