2023 年 89 巻 1 号 p. 15-21
播磨灘において2008–2020年の12月上旬から1月上旬にかけて,産卵期のイカナゴを空釣り漕ぎ漁具(文鎮漕ぎ)により採集し,産卵集団としての個体群の繁殖特性を調べた。産卵盛期における産卵親魚密度および産卵量指数は,2010年以降低下し,特に産卵量指数は2016年以降極めて低く,近年の播磨灘におけるイカナゴの個体群産卵量は低水準であることが明らかとなった。また,産卵量指数と産卵から約2か月後に解禁されるイカナゴ0歳魚の漁獲量には正の相関が認められ,産卵量指数に基づく漁況予測が可能であると考えられた。