日本水産学会誌
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令和5年度春季大会 高校性による研究発表最優秀賞を受賞して
倉澤 聡
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2023 年 89 巻 5 号 p. 492

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抄録

受賞発表題目:「サメ類のロレンチーニ器官の数量と分布」

発表者:石田 大(東京都立大島海洋国際高等学校)

1. 研究発表に至る経緯

 本校は東京都内で唯一海洋について学ぶことのできる高校である。この点に魅かれて,船舶,海洋環境,海洋産業,海洋生物に興味のある生徒が毎年入学する。発表者である生徒もそのうちの1名である。当生徒は入学前からサメ類に強い関心を持ち,幼いころより水族館で生きた姿を観察し,専門家が主催するイベント等に参加していた。また,図鑑等の関連書籍や,時には専門書を読むほど貪欲に知識を収集していた。本校入学後は,魚類全般について精通している1学年上の先輩の力を借りながら全国の漁師と交渉してサメ類を入手し,その観察,解剖,写真撮影技術,骨格標本作成を通して,サメ類に関する知識を積み重ねた。

 本校では,3学年次に「課題研究」という実習科目が設定されており,生徒は本実習のテーマはサメ類に関する研究にすることを既に決めていたが,より具体的な内容設定に苦労していた。そこで,私が相談を持ち掛けられた際に,サメ類の持つ特殊な能力や器官について,在校中に開拓したサンプル入手経路を大いに利用できるテーマで考えてみてはどうかと生徒に助言した。それがきっかけとなり,生徒はサメ類独特の器官であるロレンチーニ器官に着目し,本器官の頭部における分布やその数に種類ごとに違いがあるかもしれないという疑問に至った。そこで,出来る限り多くの種のサンプルを集めてその疑問点を解決することを目的とし,更にサメ類の進化という新たな興味を持って,本研究に取り組むこととなった。

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