心拍間隔を指標にした魚類の聴覚閾値の測定は近年日本で多く行われているが, その多くは成魚を対象としている。本研究は0歳から2歳魚までの各年齢のマダイを用いて, 音と電気刺激を組み合わせた条件付けを行った後, 放音前と放音後の心拍間隔を比較して, 聴覚閾値を測定した。0,1歳魚の最高感度周波数は300Hzでその閾値音圧はそれぞれ92.4dB, 83.0dB (0dB=1μPa)であった。また2歳魚の最高感度周波数は200HzでIshioka et al (1988)の3歳魚と同様であり, その時の閾値音圧は71.3dBであった。このことからマダイは成長に伴い最高感度周波数が低周波数へ移動するとともに100Hzおよび200Hzの感知能力が向上することがわかった。