マサバとへしこの成分比較から, へしこ製造過程での食塩及び糠の炭水化物の侵入により, マサバは大きく脱水し, その際に脂質は一部が流出するものの多くはへしこ中に濃縮されるが, タンパク質は流出などによる損失が大きいことが推察された。しかし, いずれのへしこでも, タンパク質の低分子化による著量の遊離アミノ酸とペプチドの蓄積が見られた。へしこにはヌクレオチドは存在しなかったが, 乳酸, 酢酸, コハク酸, リンゴ酸は多かった。へしこの強い呈味には, 多量の遊離アミノ酸のほかペプチドや有機酸などの関与も大きいと考えられた。