2002 年 68 巻 1 号 p. 15-23
「持続的養殖生産確保法」により定められた酸素消費速度と硫化物態硫黄量(AVS-S)を指標とする養殖漁場の環境基準が五ヶ所湾の魚類養殖場に適用可能か否かを検討した。生簀から順次,間隔をとって採取した沈降物と堆積物の有機態CとN量および堆積物のAVS-Sは生簀に近づくほど増加し,有機物負荷の傾度をよく表していた。しかし,有機物負荷量に応じた酸素消費速度の最大値を見出せず,本環境基準を五ヶ所湾の漁場に適用できなかった。その要因として,有機汚濁レベルが高いため有機物負荷に応じた酸素消費速度の増加局面を把握できなかった可能性および生物的酸素消費速度が海底直上水のDOに即応して変化した可能性を指摘した。