抄録
症例は57歳女性.主訴はなし.人間ドックで血清CA19-9の軽度上昇を指摘され当科受診.腹部超音波検査で膵頭部に15×15mmの低エコー腫瘤を指摘され入院となった.各種画像診断では内部に液体成分を有する血流豊富で境界明瞭な類円形腫瘤であり,壊死変性を伴った非機能性膵島腫瘍などを疑ったが確定診断に至らず,十分なインフォームドコンセントのもとに幽門温存膵頭十二指腸切除術を行った.病理組織学的所見では小型嚢胞が密に増生した辺縁部と,拡張した嚢胞が存在する中心部から構成されていた.嚢胞壁は一層性の立方状上皮からなり,膵漿液性嚢胞腺腫であった.今回,興味深い画像所見を呈し,病理標本と対比可能であった膵漿液性嚢胞腺腫の症例を経験したので報告する.