膵臓
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原著
栄養改善からみた慢性膵炎に対する内視鏡的治療の意義
海野 純廣田 衛久正宗 淳菅野 敦菊田 和宏粂 潔濱田 晋有賀 啓之下瀬川 徹
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2012 年 27 巻 4 号 p. 593-600

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抄録

慢性膵炎に対する内視鏡的治療の意義を栄養改善の観点から検討した.12ヶ月以上の内視鏡的治療を要した19例を対象とし,栄養状態の評価指標としてBMI,血清アルブミン(Alb),総リンパ球数(Lym),小野寺のPrognostic Nutritional Index(PNI),総コレステロールの経時的変化をレトロスペクティブに解析した.治療開始後,腹痛発作がなかった12例では各栄養指標は有意に改善したが,腹痛発作が1回以上発生した7例では改善がみられなかった.Alb,Lym,PNIは治療後1~3ヶ月の期間に有意な改善を示し,BMIについては7~9ヶ月で有意な増加を認めた.内視鏡治療によって,腹痛発作を完全に防止できれば栄養指標の改善効果が得られ,その効果は10ヶ月以内に達成された.外科治療に先行する短期間の内視鏡治療は栄養障害の改善という見地からも有効な治療ストラテジーとなり得る.

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© 2012 日本膵臓学会
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