抄録
逆浸透膜のポリアミド活性層にはカルボキシ基(R-COOH)が存在し,R-COOHが脱プロトン化(R-COO-)することによりポリアミドは電荷を有する.そして,ポリアミド活性層の電荷密度は逆浸透膜の膜性能を決定する重要な物理化学的特長の一つである.しかし,電荷密度を測定する既存の手法はタンデム加速器などの大掛かりな装置を必要とする.このことを踏まえ,本研究の目的は水晶振動子マイクロバランス(QCM)を用いてポリアミド活性層の電荷密度を簡易に測定することである.R-COO-の対イオンとしてCs+を選択し,R-COOHが脱プロトン化してR-COO- Cs+になる際の重量変化をQCMで測定することでR-COO-濃度を求めた.その結果,本研究で得た電荷密度は既存の手法を用いて測定した結果とよい相関が得られた.つまり,本手法を用いれば,市販RO膜のポリアミド活性層の電荷密度を容易に測定できることが分かった.