抄録
簡易な論理の組み立てと現状データ解析によって光化学オキシダント(Ox) 前駆物質の排出削減効果を試算した2005年の東京都Ox対策検討会の方法を、その後の実測データにより検証するとともに、その手法によって近年のOx高濃度日数の変化をVOC排出規制の効果として評価できるかどうかを検討した。
この試算の手法では年々の気候変化の影響が混入するが、海風日に限定して評価するなどにより、その影響がかなり除去され、結果は改善された。
基準期間2000~2002年以降の10年程度の範囲では、この試算はおおむね現実となっており、検討対象である関東平野中央部の全体としては、NMHC濃度低減の効果によりOx高濃度日が顕著に減少したと判定できた。しかし、海風の風下地域にあたる対象地域北部では効果が現れにくい汚染構造の存在が推測された。