大気環境学会誌
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原著
首都圏における夏季高濃度オゾン出現に関わる前駆物質(NMHCとNOx)の挙動解析
吉門 洋
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2015 年 50 巻 1 号 p. 44-51

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抄録

首都圏から北に開ける関東平野中央部で夏季に出現するオゾン高濃度現象に関与するであろう前駆物質濃度の挙動を、気象条件と関係づけて解析し、VOC規制の影響についても検討した。大気常時監視測定局で継続的に測定されてきたNMHC、NOx、光化学オキシダント (Ox) 濃度と風データ12年分(2000~2011年、7~8月のみ)を利用した。また、アメダス日照および風データにより海風日・非海風日の判定を行った。
Ox高濃度の出現率が圧倒的に高い海風日について、東京都区内の前駆物質濃度に注目し、日中のOx生成に関与する06~09時の3時間平均濃度が高くなる気象条件を探索した。海風開始以前の早朝に静穏で、特に都心部に向けて収束する風向分布の時に濃度が上昇し、日中のOx高濃度出現に結びつくことがわかった。また、そのようなケースで東京都の東部から埼玉県北部にわたる広域Ox高濃度が発生していた。
しかし、対象期間の後期にはこのような早朝の濃度上昇が目立たなくなり、広域Ox高濃度の出現は格段に減った。しかし、より低いNMHC濃度域において、前期にもかなりの出現比率があった平野北部でのOx高濃度出現はあまり改善されず、後期にかえって目立つようになった。

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© 2015 大気環境学会
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