2020 年 55 巻 2 号 p. 60-77
2016–2017年に本州日本海側の最大都市である新潟市において、PM2.5の発生源や各発生源からの寄与割合を明らかにすることを目的として、イオン、無機元素、炭素成分のほか、レボグルコサンなどの有機マーカー成分の通年観測を実施した。その結果、レボグルコサン、マンノサンの濃度は秋季に最も高くなった。バイオマス燃焼の影響について考察したところ、秋季はレボグルコサン/マンノサン比と後方流跡線解析結果から、佐渡市での稲わら燃焼と中国東北部でのopen burningの影響、冬季はAsなどの石炭燃焼の指標物質とレボグルコサンの濃度に相関関係が見られたことから、中国東北部で家庭用燃料として使用された石炭やバイオマス燃料の燃焼の際に生じたPM2.5の影響をそれぞれ受けていると推測された。これらの有機マーカー成分を用いてPMFモデルによる発生源解析を行ったところ、有機マーカー成分を用いない場合よりも多い11因子が抽出され、PMFモデルに有機マーカー成分を用いることの有効性が示された。また、各発生源からの寄与濃度を算出した結果、新潟市では1次生成粒子よりも2次生成粒子の影響が大きいことが示唆された。