2022 年 57 巻 1 号 p. A21-A40
以前から、大気汚染の増加と空気中に浮遊する生物由来成分を含むエアロゾル(バイオエアゾル)の増加には正の相関が見られることなどが報告されていたが、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症の蔓延、健康被害において、大気汚染問題との関連性を示唆する研究報告が欧米であり、統合的なアプローチの重要性がより明確に示唆されている。結核などを含むバイオエアロゾル研究の重要性、N95レスピレーターなどの使用に際して留意する必要性、現在増加傾向にある肺MAC症の地域差、加湿器由来バイオエアロゾルによる肺の疾患などが存在している。また、大気中に存在するPM2.5などの粒子状物質が肺の免疫機能を活性化することなどから、より詳細なPM2.5などの微小粒子の物理化学的な特性を検証することは重要である。大気環境中のエアロゾルやその中に含まれる大気汚染物質の問題、感染症の問題への対策は大気環境科学と医学のワンヘルス的な取り組み、協働体制の重要性が再認識された。参加者数は大気環境学会事務局の把握では126名であった。