抄録
要旨:症例は88歳男性.胃潰瘍のため,幽門側胃切除,Billroth II法吻合術の既往がある.急性胆管炎で前医に入院し,総胆管結石治療のために当院を紹介され,転院した.ERCPでは総胆管に最大径20mmの結石が多発していた.内視鏡的乳頭切開術を施行した後,機械的破砕術を試みたが,結石が堅く破砕できなかった.ESWLも困難であったため,経口直接胆道鏡下に電気水圧結石破砕術併用結石除去術を試みた.大腸用内視鏡で留置した5Fr.の経鼻胆道ドレナージチューブをガイドに極細径内視鏡を胆管に挿入し,胆道鏡を行った.直視下に破砕し,細径バスケットで結石を全て除去した.偶発症はなかった.通常のERCP下結石除去術が困難なBillroth II法術後の大結石に対して,極細径内視鏡を用いた直接胆道鏡下砕石術は治療法の選択肢の1つとして有効であった.