胆道
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症例報告
透析中の慢性腎不全患者に発症した特発性胆管穿孔の1例
青山 春奈上田 樹菊山 正隆榎田 浩平白根 尚文
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2015 年 29 巻 5 号 p. 923-928

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抄録

症例は慢性腎不全にて透析中の49歳,男性.腹痛と嘔吐を主訴に入院.腹部造影CTにて肝門部から膵頭部にかけて液体貯留,総胆管結石,高度の動脈硬化,胆嚢結石,多発腎嚢胞を認めた.肝障害は軽度であったが第2病日にERCPを実施し胆管ステントを留置した.第3病日に腹水が出現し腹腔穿刺によりビリルビン高値の腹水を吸引した.ERCPの見直しにより,3管合流部直下より造影剤の漏出を認めた.保存的治療により胆汁瘻の治癒がなく,第10病日に外科治療を行い,3管合流部直下に穿孔を確認した.胆嚢摘出術を実施し,胆嚢管断端から胆道鏡にて小さな胆管結石を摘出した.穿孔部よりT-tubeを留置し手術を終了した.第35病日にT-tubeを抜去し,第36病日に退院した.

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© 2015 日本胆道学会
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