抄録
症例は66歳,女性.検診腹部USが契機となり胆嚢内胆泥と胆嚢壁肥厚を指摘され,精査目的で当院へ紹介となった.EUSでは下部胆管に膵管型の膵胆管合流異常を,ERCPでは下部胆管の軽度壁不整を認めた.不整胆管壁に対して経乳頭生検を行い,胆嚢病変に対して内視鏡的経鼻胆嚢ドレナージ(ENGBD)を留置して複数回の胆汁細胞診を行った.胆管生検で腺癌を,胆汁細胞診で腺癌を疑う細胞を認め,胆管非拡張型膵胆管合流異常に合併した胆嚢・胆管重複癌と診断し,膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本では胆嚢体部から底部に上皮内進展する高分化腺癌がみられ,一部に漿膜下層浸潤を認めた.中下部総胆管にも35mmの粘膜内癌を認めたが,脈管浸潤やリンパ節転移は陰性であった.術後5年経過し,再発所見はみられない.膵胆管合流異常では胆道癌が潜在・多発する可能性を念頭に入れ,組織細胞診を含めた術前精査を行うことが肝要である.