抄録
47歳,男性.12年間印刷業に従事していた.心窩部痛の増悪のため前医を受診した際に肝内腫瘤を認め,当科紹介となった.精査にて脈管浸潤や複数のリンパ節転移を認める手術不適応な肝内胆管癌と診断された.CDDP+5-FU療法を施行したが発熱,嘔気の出現にて継続困難となった為,症状緩和目的に肝右三区域切除術が施行されたが癌の進行により死亡した.切除標本ではS6とS8/4の2カ所に胆管癌を認め,その2つの腫瘍間の胆管にBiliary intraepithelial neoplasiaが認められた.今回我々は,20年前に経験した肝内胆管癌症例に印刷業勤務の背景が存在していたため文献的考察を加えて報告する.