2019 年 33 巻 2 号 p. 288-293
69歳男性,腹痛と背部痛を主訴に当院受診した.血液検査では炎症反応の上昇と閉塞性黄疸および高度肝障害を認めた.腹部エコーおよび腹部CTより胆嚢内と胆管内に血腫を疑う所見を認めた.ERCPを施行し,Vater乳頭より凝血塊の排出を認め,胆道出血と診断した.ENBDチューブにて減黄後,胆嚢摘出術を施行した.摘出標本内には凝血塊が充満していた.病理組織学的所見では,胆嚢壁の一部に出血を伴う全層性の壊死層を認め,壊死性胆嚢炎の診断であった.自験例では黄疸と肝障害を認めENBDチューブ留置による減黄処置を要したが,胆嚢出血は時にショックに至るため,全身状態が許せば可能な限り早急に手術を施行すべきである.