2020 年 34 巻 4 号 p. 725-732
症例は69歳,男性.黄疸,心窩部痛,発熱を主訴に近医を受診.画像所見では胆管拡張を認め,膵内胆管は2本に分岐しそのまま十二指腸乳頭部に開口していた.乳頭の肛門側に分岐した膵内胆管には乳頭状腫瘍が充満していた.開大した十二指腸乳頭開口部より採取した粘液から腺癌の診断を得た.遠位胆管内乳頭状腫瘍(Intraductal papillary neoplasm of the bile duct,IPNB)と重複胆管の合併,もしくは膵管内乳頭粘液性腫瘍の総胆管への穿破を考え,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行.重複胆管に合併した腸型のIPNBと診断した.腫瘍は主膵管へも進展し,膵・胆管合流異常の状態であった.重複胆管に合併したIPNBは自験例以外には認めず,極めてまれな1例であった.重複胆管は治療方針決定のために,正確な型分類と胆石や膵・胆管合流異常,悪性腫瘍などの併存疾患の診断が必要である.