2020 年 34 巻 4 号 p. 733-740
症例は71歳,男性.38℃の発熱があり,CT検査で胆嚢癌が疑われ当院紹介となった.造影CT検査では,胆嚢体部から頚部にかけて造影効果を伴う腫瘤を認め,肝浸潤も疑われた.明らかな胆管浸潤は認めないが胆嚢管までの進展を伴っていた.明らかな遠隔転移は認めなかった.胆嚢癌の診断で肝S4a+5切除・肝外胆管切除・リンパ節郭清を施行した.切除側の肝臓内に5mm大の同時性単発肝転移を認めたため,最終病理組織学的診断は,胆嚢癌,肝S5孤立性肝転移のpStage IVBであった.術後補助化学療法なしで外来経過観察を開始した.術後3年3カ月無再発生存であったが,悪性リンパ腫で永眠された.本症例では,肝S4a+S5切除による,R0切除を施行することで長期生存を得ることができた.また,本症例は胆嚢腫瘍近傍の門脈内に腫瘍栓を形成しており,胆嚢静脈を介して肝転移を形成した可能性が示唆されたので報告する.