2021 年 35 巻 4 号 p. 668-677
症例は72歳男性.膀胱癌術後の経過観察目的に施行した造影CTにて胆嚢底部の壁肥厚が指摘され当科を受診した.造影CTやMRIでは胆嚢底部に造影効果を示す隆起性病変と連続する壁肥厚が認められた.EUSでは,広基性の隆起性病変における外側高エコー層の不整が認められた.ERCP時の胆汁細胞診から腺癌を認め,拡大胆嚢摘出術が施行された.肉眼所見では大小不同の顆粒状粘膜を伴う壁肥厚性病変と,隆起性病変の一部と考えられる脱落した組織片が確認された.病理所見では肥厚した胆嚢壁と一致して管状腺癌と神経内分泌癌の所見が認められ,混合型神経内分泌癌と診断した.また脱落した組織には腺癌と肉腫が混在していた.胆嚢における腺癌,神経内分泌癌,肉腫が混ずる腫瘍は稀と考えられた.神経内分泌癌と癌肉腫の進展様式のまとめから,混合する腫瘍成分の影響により隆起性病変と壁肥厚性病変が混在する特異的な形態を呈した可能性が示唆された.