胆道
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ラットにおける dibutyltin dichloride 誘発胆管拡張症の病理組織学的検討
桑山 知登世宮内 慎柿沼 千早阿部 寛鈴木 不二彦須田 耕一
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2002 年 16 巻 2 号 p. 94-99

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抄録

ラットにおいて,dibutyltin dichloride の単回静脈内投与により,肝外胆管上皮の障害と炎症が起こり,次いで十二捲腸開口部近傍での肝外胆管の閉塞と肝側胆管の拡張を認めた. 肝臓では, 細胆管炎, 肝内胆管の増生がみられ, 変化の著しいものでは肝硬変への進展傾向がみられた.このことから,本実験により発症した病態は,ヒトの総胆管拡張症ならびに続発性胆汁性肝硬変のモデルとなる可能性が示唆された.ヒトの総胆管拡張症は, 膵・胆管合流異常との深い関わりが考えられている. 一方, ラットは種の特徴として,膵管と胆管が合流している.本モデルの病態の進展は,膵管と胆管の合流が一要因と考えられ,ヒト総胆管拡張症の発生機序を考察する手がかりが得られた.

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