胆道
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腹腔鏡下胆嚢摘出術の合併症の検討
上田 順彦木村 俊久澤 敏治
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2006 年 20 巻 2 号 p. 135-141

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抄録
腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)の治療成績の向上をめざすことを目的として, LC543例の術中合併症を検討した. 合併症発生は急性胆嚢炎の53例中8例, 発生率15%で, 非急性胆嚢炎は490例中4例, 発生率0.8%であった. 急性胆嚢炎の癒着は胆嚢炎が軽症から重症となるほど, また緊急より早期, 待機手術になるほど高度であった. またPTGBD を留置した重症胆嚢炎の待機手術例では, 21日以降に手術を施行した群でも中等度以上の癒着を認めた. 急性胆嚢炎で術中合併症を認めた8例は, 重症胆嚢炎の早期手術1例, 待機手術2例, 中等症胆嚢炎の待機手術5例であった. また全例中等度以上の癒着を認めた. これら急性胆嚢炎の胆管損傷6例中4例はCalot三角部の強固な癒着による胆管誤認であった.
以上より急性胆嚢炎ではPTGBDを留置しても強固な癒着が起こる前に早期に手術をすることが合併症を減らすことにつながると考えられた.
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