胆道
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胆管メタリックステント留置後の胆嚢炎の発症機序に関する検討
清水 恵理奈菊山 正隆平井 律子松村 和宣金 英幸長澤 正通小川 薫
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2006 年 20 巻 2 号 p. 142-146

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抄録
治癒切除不能な悪性胆道狭窄症例のQOLを維持する目的でexandable metallicstent(EMS)が留置されるが, 合併症である胆嚢炎のためにQOLが損なわれることが経験される. 胆嚢炎の発症要因を統計学的手法で検討した. 対象は胆嚢摘出術後症例を除いたEMS留置188例であり, 胆嚢炎は10例(5.3%)に発症した. 膵癌7例, 胆管癌3例であった. 全例で胆嚢ドレナージ術を実施し, 胆嚢胆汁の培養の結果でKlebsiellapneumoniae, K.oxytoca, Enterococcus faecalisをそれぞれ2例, 2例, 1例に認めた.統計学的検討の結果, 有結石症例に対するcovered EMS留置, 胆嚢管合流部に及ぶEMS留置, および腫瘍よる胆嚢管閉塞症例に対するcovered EMS留置が胆嚢炎発症の危険因子であることが示唆された.胆管炎の合併は危険因子ではなく, EMS下端が十二指腸腔に及ぶ留置は関連が示唆されるものの有意なものではなかった. 胆嚢炎発症には逆行性感染以外の経路が推定された.
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© 日本胆道学会
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