胆道
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膵液胆道,胆汁膵管逆流現象の臨床と病態
神澤 輝実
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2007 年 21 巻 4 号 p. 497-505

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抄録
正常の十二指腸主乳頭部には,Oddi括約筋が存在し,胆管末端部から膵胆管の合流部を取り囲んで胆汁の流れを調節し, 同時に膵液の逆流を防止している. 膵・胆管合流異常では,膵管と胆管が十二指腸壁外で合流し,その作用が合流部に及ばないことより,膵液と胆汁の相互逆流が起きる.通常,膵管内圧が胆管内圧より高いことより,膵液の胆道内逆流が容易に生じ,そのうっ滞などにより胆道系に高率に発癌が起きる,膵液胆道逆流規象は,胆汁中のアミラーゼ値の測定,セクレチン負荷ダイナミックMRCP,副乳頭造影などにより診断され胆道癌との関係が,胆汁膵管逆流現象は,Tチューブ造影,DIC-CTなどにより診断され急性膵炎との関連性が注目されている.近年,膵胆管高位合流例や通常の膵胆管合流部の例でも,膵液胆道,胆汁膵管逆流現象が起きることが報告されている.これらの逆流現象について,病態や適切な治療法を含めて,今後検討していく必要がある.
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© 日本胆道学会
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