東京未来大学研究紀要
Online ISSN : 2433-5487
Print ISSN : 1882-5273
原著
3-5歳児の描画意識
―絵本の場面を描く調査から―
髙橋 文子
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2020 年 14 巻 p. 103-113

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抄録

 本研究の目的は、幼児の「見たものではなく知っているものを描く」という象徴的、図式的描画の詳細を、描画意識という事物の認識の状態に着目して明らかにすることである。具体的な調査方法として、年長~年中児クラスを中心に絵本の読み聞かせを行い、その一場面の主人公を絵本を参照しないで描くという流れを設定した。2016年~2018年の3回に渡る調査の描画群や描画の様子の画像及びVTR等を基に、「投影的、象徴的な側面」、「写実的な表現への移行を想定した描画の発達段階の側面」、「経年変化の側面」から分析を行った。その結果、①なぐり描き的な描画から、対象の特徴(体の向きや顔や手足の、持ち物など)を象徴的に表そうとする描画意識②一本線の虫のように見えがちな表象から、次第に輪郭線を得て、面として形をとらえる描画意識の伸長③再現性よりも独自のストーリーを加えた再創造の傾向を確認した。

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