東海北陸理学療法学術大会誌
第23回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: C003
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足関節に著明な拘縮を呈した脳出血患者に対するアプローチ
*高橋 康弘山田 優子
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抄録
【はじめに】<BR>今回、当院回復期リハ病棟入院時より著明な足関節拘縮を呈し、姿勢安定性と目的動作獲得に向けたアプローチに難渋した症例に対する装具療法の経験を振り返り、その効果と気付き得た反省点や課題についてまとめたので報告する。<BR>【症例紹介】<BR>55歳 女性 右被殻・視床出血、くも膜下出血発症 開頭血腫除去術、VPシャント術施行 第51病日当院(回復期リハ病棟)入院<BR>【入院時評価】<BR>上下肢・手指BRS:右6、左2  ROM制限:左足関節背屈-35度  筋緊張:安静時、動作時ともに亢進  強い伸筋共同運動パターン  腱反射:やや亢進  感覚障害:有り  座位FRT:13.0cm  高次脳機能障害:自発性低下・注意障害・左半側空間無視・記憶障害  端座位保持軽介助  立ち上がり・立位保持中等度介助  FIM総計28点 移乗2点、トイレ動作1点(2人介助)<BR>【目標】<BR>在宅復帰を希望されており、夫の介助下での移乗やトイレ動作の獲得を目標とした。<BR>【理学療法とその経過】<BR>本症例は随意性低下・筋緊張異常・感覚障害に加え、著明な内反尖足による支持基底面の減少が座位・立位姿勢の崩れを助長し、効率的な支持機能が発揮できず、筋緊張の更なる亢進、強い病的共同運動パターンの出現、過緊張による協調障害といった悪循環を引き起こしていた。<BR>底屈拘縮に対しては、主に物理療法、徒手療法を施行し、良肢位保持目的に作製した仮装具を用いて座位・立位練習を行ったが、可動域は-20度までの改善に留まり、更なる姿勢制御、動作性、動的要素の高いアプローチを行うには強固な足固定が必要となった。<BR>しかしながら、本症例の予後予測と生活を見据えた装具処方の判断に難渋し、本装具(踵部を補高した金属支柱付短下肢装具)作製には第126病日まで時間を要した。<BR>本装具装着後は過緊張の抑制、更なる姿勢安定性(座位FRT32.3cm)が得られ、平行棒内歩行練習も行える状態となった。端座位・立ち上がり・立位監視レベル、FIMにおいては移乗3点、トイレ動作は1人介助、総計は43点となり目標を達成し、在宅復帰が可能となった。<BR>【考察】<BR>装具によるアライメント修正により感覚情報の量・質の改善が得られ、支持面を基準とした自分の位置関係の情報入力が向上した。このことは全身の過剰な緊張の発生を抑制し、姿勢・動作の改善という結果に繋がったと考えられる。<BR>本症例を通して、治療装具の重要性を改めて感じ、今回無し得なかった早期装具処方のためには妥当性のある予後予測、そして、効率的なアプローチの提供が課題として挙げられた。
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© 2007 東海北陸理学療法学術大会
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