抄録
【はじめに】
Opsoclonus-polymyoclonia-syndrome(以下OMS)は,注視方向とは無関係に生じる外眼筋のmyoclonusに小脳失調を合併したものをいう.OMS症例は希少なため,OMSに対する理学療法について考察を交えて報告する.
【症例提示】
80歳代男性,4ヵ月前にOMSを発症し,ステロイドパルス療法にて症状緩解し,ADL自立にて独居していた.今回,OMS症状が再燃し,当院にて加療目的に入院となる.
【理学療法評価と経過】
初期評価として,ROM両足関節背屈10°,鼻指鼻試験両側+,MMT四肢5,体幹屈曲2,berg balance scale(以下BBS)6点,FIM78点であった.姿勢分析として,端座位は,右肩甲帯・頚部にmyoclonus認めるが座位バランス良好.平行棒内立位は,体幹前傾,骨盤後傾,股関節屈曲外旋位,膝関節軽度屈曲位にて足部が外側を向き,後方重心.また,上肢のmyoclonus増強により立位保持困難となる.本症例は,座位と比較して立位にてmyoclonusが増加し起立や歩行などの重心が高い位置での動作が困難であった.これらへの治療的アプローチとして,理学療法開始当初は,協調性改善を目的とした訓練を中心に行っていた.しかし,ステロイドを中心とした薬物療法が奏効し,OMS症状が緩解した事により,体幹筋力低下,足関節の背屈可動域制限による立位時の後方重心化が姿勢や動作に影響している事が顕在化してきた.それらにターゲットを絞った訓練を行っていき,最終的に姿勢及び重心が矯正され,立位・歩行の安定がなされた.最終評価として,ROM両足関節背屈15°,鼻指鼻試験両側-,MMT両上肢5,両下肢4,体幹屈曲3,BBS62点,FIM96点となり,T字杖歩行獲得とご家族の介助が得られ,自宅退院となった.
【考察】
今回,OMS症例の理学療法を実施する上で重要であった点は,OMS症状の出現により表在化し難い問題点を早期から発見することである.また,今後の再燃の可能性もあり,Weak pointを事前に情報収集できる状況も必要であると考えられた.