東海北陸理学療法学術大会誌
第25回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: O-20
会議情報

頚椎症に対する運動療法を経験して-肩甲挙筋と前鋸筋の機能についての考察-
*岡西 尚人山本 昌樹
著者情報
キーワード: 頚椎症, 肩甲挙筋, 前鋸筋
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【はじめに】 今回、頸椎症と診断された4症例に対し前鋸筋の収縮訓練を中心とした運動療法を行い比較的良好な結果を得ることができた。4症例に共通して認めた理学所見と運動療法および経過から肩甲挙筋と前鋸筋の機能について考察した。 【症例紹介】  症例1は40歳代男性、事務職。症例2は30歳代女性、家事手伝い。症例3は40歳代男性、事務職。症例4は70歳代女性、主婦。全例とも以前から肩こりを自覚しており、頸部回旋時の同側や反対側への側屈時に疼痛が出現した。罹患側の後頭部と肩甲挙筋の頚椎付着部に圧痛を認めた。罹患側と反対側の中殿筋の筋力検査時に体幹のふらつきを認めた。 【運動療法および経過】  全例とも、初回治療時に罹患側の前鋸筋の収縮訓練と反対側の内外側腹斜筋の収縮訓練を行い、肩甲挙筋の圧痛は軽減もしくは消失し、頸部回旋時痛や側屈時痛は軽減した。自宅での自主練習を指導し、週1回の来院で経過観察した。症例1、2、3は運動療法開始4週間後までに症状が消失した。症例4は、頸部痛は残存したが軽減した。 【考察】  今回の頸部痛の主たる因子は、肩甲挙筋の緊張亢進に伴う循環障害による筋性疼痛と推察された。頚椎症では肩甲骨上方回旋筋群の機能低下を有している症例や、体幹の立ち直り反応の低下を肩甲帯により代償させている症例を経験する。これらは、肩甲挙筋の負担増大を惹起するものと考えられる。そのため頚椎症の運動療法では、僧帽筋中部・下部線維の筋収縮訓練が推奨されるが、肩甲挙筋の代償動作が生じやすく困難なことが多い。一方、前鋸筋は比較的容易に筋収縮を行え、肩甲骨の安定性に寄与できる。また、動作が簡便であるため自主トレとしても実施しやすい。肩甲挙筋は形態的に上位頚椎の前弯を保持する機能を有するが、停止部である肩甲骨が安定していることが必要であり、肩甲骨を安定化させる前鋸筋の機能改善は肩甲挙筋の負担を軽減させると推察した。
著者関連情報
© 2009 東海北陸理学療法学術大会
前の記事 次の記事
feedback
Top