抄録
【はじめに】
近年, 急速な超音波画像の飛躍的な進歩を背景に, 従来から汎用されてきたX線, CT, MRIに比較し, 侵襲性・簡易性などにおいて優れている超音波画像診断が注目されている. 超音波画像は, 他の画像診断では評価が難しい軟部組織の評価や, 筋の動的観察や血流評価などリアルタイム性を利点とする様々な評価が可能であり, 特に, 整形外科をはじめとしてスポーツ領域などにおける報告も多く散見される. 今回, 2006年より施行している超音波画像評価より得られた結果から,その有用性について症例を供覧し, 超音波画像診断の現状やトピックスと併せて報告する.
【対象及び方法】
対象は2006年4月から2009年3月までに施行した33例の急性期理学療法症例とした.平均年齢53.8歳(13歳~76歳), 男性20例, 女性13例であった. 評価にはSono Site社製超音波測定装置MICRO MAXを使用し, Bモード画像による評価を施行した.
【結果】
評価部位は肩関節周囲から上腕部にかけての上肢が18例で, そのほとんどが軟部組織の評価であった. また, 体幹部は2例, 下肢10例, その他の部位の評価は3例であった.静的画像評価では, 筋膜の状態や液体貯留などの軟部組織の評価が有用であった症例が16例と約半数であり, その他, 筋や骨組織などの修復過程の評価に, リアルタイムな動的観察が有効であった症例も数多く認められた.
【考察】
超音波画像による詳細な組織観察が, 診断のための評価ではなく術後の経過や治癒過程の観察のための評価にも有効であり, 整形外科領域だけにとどまらず, 様々な急性期患者の評価に有用であると考えられた. 超音波画像による評価は, 理学的所見を評価する触診や運動診などの延長となり, その簡易性から理学療法を施行するうえで重要なツールとなり得る手段と思われる.