抄録
【目的】
脳性麻痺をもつ子ども(以下、CP児)は、歩行能力が低下している。このうち、歩幅を大きくするためには、大股歩行が有用であると思われるが、その効果は十分には検証されていない。
そこで本研究では、CP児に大股歩行を行い、CP児が歩行中の歩幅を増やすためには、どのような方略が有用であるかを明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は、Aセンターに入所もしくは外来で通うCP児10名〔平均13歳4ヶ月、男児:5名、女児:5名、粗大運動能力分類システム(GMFCS) レベルI:6名、レベルIII:4名〕。対象者と保護者には研究の説明を十分に行い、文書で同意を得た。
対象者には、普段の速度(以下、快適歩行)、最大の速度(以下、最速歩行)、速度を問わず大股歩行の3条件で歩行してもらった。各条件、計測は3回行った。歩行率は10歩に要する時間から、歩幅は10mの歩数から算出した。
【結果】
大股歩行の歩幅が最大だった児は7名であった(以下、大股群)。残りの3名は最速歩行時の歩幅が最大であった(以下、非大股群)。
大股群は、快適歩行、最大歩行、大股歩行の順に、歩幅が46±5、52±6、54±7 cm(平均±SD)、歩行率は124±24、159±27、101±26 歩/分であった。
非大股群では、歩幅が49±6、59±4、47±7 cm、歩行率は129±25、143±44、100±23 歩/分であった。
【考察】
本研究から、CP児では大股歩行が合目的でない児がいることが示された。非大股群では、快適歩行から最大歩行で、大股群より歩幅を多く増加させることができたが、意識的な大股歩行になるとむしろ歩幅が減少し、このとき、歩行速度は快適歩行よりも減少し、大股では連続して歩行できないなどの特徴もみられた。
これらの児では、大股を意識させるよりも、加速度をつけて歩くことが、歩行中の歩幅を増加させる方略として有用であったと考えられた。