東海北陸理学療法学術大会誌
第28回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P-39
会議情報

ポスター
起居動作獲得に難渋した重度のプッシャー現象を伴う脳出血の一症例を経験して
*寺井 ミカ
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
【はじめに】 プッシャー現象は、程度の差はあるが、座位、立位、歩行時のいずれにもみられ、運動学習およびADL自立の大きな阻害因子になるといわれている。今回、重度のプッシャー現象により起居動作獲得に難渋した症例を経験する機会を得たためここに報告する。
【症例紹介】 症例は、左被殻出血を発症し、右片麻痺と失語症を呈した70歳代の女性である。発症後26日目に当院へ転院されリハビリ継続の運びとなる。なお、今回の発表の主旨を患者・家族に説明し同意を得た。
【初期評価】 Brunnstrom recovery stage 右上肢2・手指1・下肢2であり、感覚は、右上下肢ともに痛み刺激に対しても反応がなく脱失であった。Karnathらのプッシャー現象の指標であるScale for contraversive pushing(以下SCP)は6点で最も重症な状態であった。ADL評価は、BI5点(食事のみ)、FIM38点であった。起居動作は、すべて全介助であった。
【治療内容・結果】 非麻痺側の体性感覚への感覚入力に重点をおき、リハビリ開始より1ヶ月目は左側臥位保持練習・静的座位練習・寝返り練習を中心に行った結果、左側臥位での保持が行えるようになり静的座位も見守りで行えるようになった。2ヶ月目は動的座位練習・立位練習を中心に行った結果、座位での前方へのリーチ時の右への崩れが軽減し、壁際の手すり使用での立位保持が1分程度行えるようになった。3ヶ月目は立ち上がり練習・トランスファー練習を中心に行った結果、日中は1人介助でトイレ誘導が行えるようになった。麻痺側に著名な改善は認めなかったが、SCPは1.25点、ADL評価は、BI35点、FIM64点に改善を認めた。起居動作は、手すり使用にてすべて見守り~軽介助に改善した。
【考察】 今回は体性感覚への感覚入力に重点をおき、動作を繰り返し行うことで新しい姿勢制御機能が作り出されたと考えられる。その結果、非麻痺側の過剰な活動が抑制されたことでプッシャー現象の軽減につながり、起居動作の介助量軽減を獲得できたと考えられる。
【まとめ】 今回の症例を通して、非麻痺側への理学療法介入の重要性を改めて認識した。今後は予後予測に応じて、麻痺側のみならず非麻痺側に対しても積極的に理学療法を行っていきたいと考える。
著者関連情報
© 2012 東海北陸理学療法学術大会
前の記事 次の記事
feedback
Top