2022 年 27 巻 4 号 p. 4_41-4_45
国際的な防災政策において、社会によって作り出された脆弱性と災禍が掛け合わされて生じる被害として、災害を捉える認識が定着している。この脆弱性が大きい場合に、災害時の被害が深刻になるだけでなく、長期的な復興を困難にし、次なる災害にも脆弱となる問題が指摘されてきた。本稿では、脆弱性をもたらす数多くの要素のなかでもジェンダーに注目し、2011年3月11日に発生した東京電力福島第一原子力発電所の事故を事例として、女性たちの被災経験と支援ニーズが不可視化されている結果、被害の実態把握が困難になっている問題について考察する。