2023 年 28 巻 3 号 p. 3_21-3_25
震災以降既に12年余が経過した今、津波災害、原発災害などの個別のイッシューを越えて「震災被災者の主体的な復興」をキーワードに震災復興を振り返る必要がある。ここでは「社会的モニタリング」の実施とそのアーカイブ化を通じた「被災者の主体的な復興」のプロセスを検証する一連の手続きを提案する。「社会的モニタリング」とは復興ガバナンスを進展させていくための基本的な仕組みの一つである。政策の立案と実行、政策に対する現地での受け止め、そしてその結末が復興に及ぼす効果という一連の有り様をモニタリングしていく仕組みであり、アーカイブに蓄積された社会的モニタリングの結果をガバナンスに反映させていくことで「らせん状」の復興過程の実現を目指す。その例として世論調査を取り上げ、住民、そして国民の意見の収集とその政策への反映の重要性を示す。