学術の動向
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第二部:被災地大学の取り組みから浮かび上がってきた論点の開示
創造的復興から地域共存的再生への転換を
──福島原子力被災地の国際教育研究拠点
山川 充夫
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2023 年 28 巻 3 号 p. 3_40-3_43

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抄録

 東日本大震災・原子力災害から12年が経ち、復興政策がインフラ整備・帰還促進から産業誘致・移住促進に転換された。それを具体化するのが福島イノベーション・コースト構想であり、この構想は国の復興構想会議が提唱する創造的復興の具体化である。廃炉やロボット・ドローンなど重点6分野が推進され、その司令塔的役割を担う国際研究教育機構が設立された。原子力災害からの被災者生活再建や地域再生の政策課題、それは人間存在の共同基盤としてのエクメーネのあり方であるが、その調査研究は日本が果たすべき国際的な責務でもある。国際研究教育機構に期待されるのは、地域共存的再生の視点を明確にし、被災者や被災地が取り戻すべき「生活の質」、「コミュニティの質」、「環境の質」に関わる研究教育であり、「人間の質=地域の質」を高める教育研究である。そのためにも福島県復興ビジョンが掲げる「原子力に依存しない社会」の視点が重要である。

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